ディスプレイ広告

2017.09.29

【リスティング】クリック率(CTR)って高いほうがいいの?

クリック率は、知識のない人でも口をはさみやすい

リスティング広告のクリック率を気にする人がけっこういるんですよね。
上がった下がったといって一喜一憂。

まあわかりやすいところではありますからね。
コンバージョン単価だと[キーワードの品質] [クリック単価] [広告とLPの関連性] [LPの訴求内容] [フォームの入力しやすさ] などいろんな要素が影響を与えるので、なかなかわかりにくい。

その点クリック率は基本的に広告文を変えれば変化があるので、誰でもわかる。
リスティング広告の仕組みを知らなくても口をはさみやすいところなんですよね。
「クリック率下がってるじゃないか! こっちの広告にしたらどうだろう?」って。

クリック率が高いから良いとはかぎらない

一般的にはクリック率が高いほうがいいとされていますが、必ずしもそうとはいえません。

広告文で十分ターゲティングができていない場合も、クリック率が高くなることがあります。

たとえば、紳士靴の販売サイトがあるとします。キーワードは「靴 販売」で設定します。
このキーワードで検索するのは紳士靴を買いたい人だけとはかぎりません。
婦人靴やスニーカーを探している人もいるでしょう。

このとき、
「紳士靴のネット通販なら〇〇商店」
という広告文であれば、婦人靴を探している人の多くはクリックを避けるでしょう。

ですが
「靴のネット通販なら〇〇商店」
という広告文なら婦人靴を探している人もクリックしてしまいます。

クリック率が高いのは後者ですが、どちらのほうがコンバージョン単価が低いかは明らかですよね?

このように、クリック率が高いのは「正しくユーザーをターゲティングできていないだけ」という可能性もあるのです。

ディスプレイ広告のクリック率が1%を超えたらおかしいと思ったほうがいい

ディスプレイ広告でクリック率が高すぎる場合は、もっと危険です。
ディスプレイ広告のクリック率は1%を切っているのがふつうです。ターゲティングにもよりますが、0.5%ぐらいが平均値でしょうか。

ところが、プレースメントごとの配信レポートを見てみると、5%を超えているサイトがあったりします。
どう考えても異常です。
「バナーが良かったからだ!」なんて喜んでいる場合ではありません。
バナーを変えただけでクリック率が10倍になるはずありません。

クリック率が著しく高いサイトは、広告バナーの位置が移動したり、誤タップされやすい位置に広告枠があったりして、
「ユーザーの間違いクリック」が多発していることがほとんどです。

当然コンバージョン率は低くなりますので、クリック率の高すぎるサイトへの配信は(CPC課金の場合は)停止したほうがいいでしょう。
結果、トータルでのクリック率は下がりますが、無駄な配信を減らすためには必要なことです。

クリック率は上げようと思えば上げられる

アカウント全体のクリック率を上げてほしいと言われることがありますが、基本的にはお断りしています。

なぜなら、クリック率は上げようと思えば上げられるんですよね。

  • 入札単価を上げて掲載順位を上げる。
  • クリック率の低いキーワードを止める。
  • クリック率の低いデバイスへの配信を減らす。
  • クリック率の低い時間帯の配信を減らす。

など、お手軽にクリック率を上げるためのいろんな方法があります。

でもそれをやったからといってコンバージョンを増やすことにはつながりません。
むしろ減らす場合がほとんどです。

クリック率を高くしてコンバージョンを減らすことになっては本末転倒です。
本来のゴールである「コンバージョンを増やす」「コンバージョン単価を下げる」を見失ってはいけません。

もちろん意味がないわけじゃない

クリック率にこだわるべきではありませんが、かといってまったく気にしなくていいわけではありません。
事実、広告を変えることでコンバージョンが増えることもありますからね。

広告のクリック率が高い/低いを見るのであれば、
「同じキーワード(もっといったら同じ検索クエリ)」「同じデバイス」で比較しないと意味がありません。
同じ条件でクリック率が高い広告は、広告ランクを高めるのに役立ちますから。
(もちろんさっき説明したように正しくターゲティングできていることが前提ですが)

アカウント全体、キャンペーン全体でのクリック率に一喜一憂するのは無意味ですけどね。

結局……

今はGoogleもYahoo!も、成果の良い広告があれば自動的に配信頻度を増やしてくれます。

であれば、広告をあれこれこねくりまわすよりも、新しい広告を増やしていくほうがいいでしょう。
成果の悪い広告が淘汰されていくので。

ここでいう「成果」とはクリック率のことではありません。コンバージョン率、コンバージョン単価です。

クリック率は意味のある指標ですが、それにとらわれるあまりもっと大きな目標を見失わないようにしましょう。