広告運用
2017.12.18
なぜECサイトの広告運用を断ることが多いのか
ECサイトの広告運用についてお見積り依頼を受けることがあります。
正直に言って、ご契約に至らないことが多いです。
というのは、こちらから「やめたほうがいいと思いますよ」とお断りすることが多いからです。
ECサイト特有の問題
人材紹介、士業、不動産紹介などサービスを宣伝する場合を考えましょう。
たいていの場合はゴールが「無料会員登録」「無料資料請求」です。
いいLPを作って適切な広告運用をおこなえば、ある程度のコンバージョンは見込めます。
ところがECの場合はそうはいきません。
ゴールは「購入」となり、お金を払っていただくことが目標となります。
いくらいいWebサイトがあってうまく広告運用をしたとしても、商品が良くなければ購入には至りません。
- ユーザーに求められている商品か
- 他サイトで買うより安いか
- 他サイトで買う以上の信頼性があるか
「売れている商品をECサイトで安く売りたい」という場合でしたら成果は出せるでしょうが、
「売れていないからECサイトで売る」場合は、どんなにWebサイトや広告に力を入れても成果は期待できません。
大手ショッピングサイトには勝てない
「楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングでだめだったから自社サイトで売りたい」という相談を受けたときは、
「自社サイトだったらもっと無理ですよ」とお伝えしています。
大手ショッピングサイトより信頼のあるECサイトを持っている会社はほとんどないでしょう。
自分が買い物をするときのことを考えればわかると思います。
まったく同じ商品が同じ価格で買えるとしたら、大手ショッピングサイトと企業オリジナルのECサイトのどちらで買いますか?
ほとんどの方は、大手ショッピングサイトを選ぶと思います。
なぜならそちらのほうが信頼できるし(クレジットカードを登録することに抵抗がない)、ポイントも溜まるし、多くの場合既にアカウントを持っているからです(このアドバンテージはほんとに大きいです)。
自社サイトで売るのであれば、よほどのメリット(安い、他サイトにはない特典がつく、他サイトでは買えない限定品である)がない場合は、まず勝負に負けるでしょう。
Web上では、複数サイトの比較検討がすごくかんたんです。
多くのECサイトは、スーパーマーケットのすぐ隣に建っている個人商店のようなものです。同じ商品を同じ値段で売っても勝てるわけがないのです。
うまくいくECサイトの運営
もちろん、自社サイトへの広告運用でうまくいくECサイトもたくさんあります。
前提として、大手ショッピングサイトでも売れていることがやはり大事です。
競争の激しい大手ショッピングサイトで売れているということは、商品に魅力がある、価格競争力がある、在庫の管理ができている、ということです。
これができていなければどんなにおしゃれなサイトを作っても商品は売れません。
その上でECサイトの運営を成功させるとしたら、LTVを重視した考えをすることが必要になります。
LTVとは?
顧客生涯価値のことです。お客さんが生涯を通じてどれだけ利益をもたらしてくれるか、という考え方です。
自社でECサイトを運用するメリットは、顧客(または見込み顧客)に対して、さまざまなアプローチがかけられることです。
カート落ち(カートには入れたけど購入前に離脱)したユーザーに広告を配信して呼び戻す、
一度買ってくれたユーザーに広告を配信してリピートを呼びかける、
顧客リストに対してメルマガなどで情報発信をおこないファンになってもらう。
こういった手が打ちやすいのが自社運用の最大のメリットでしょう。
単月の売上/経費だけを見たら、大手ショッピングサイトに劣ることがほとんどでしょうが、
長期的にLTVが伸びるのは自社運営のECサイトのほうかもしれません。
なぜ広告運用をお断りするのか
事前に課題をヒアリングして、クライアント様が短期的な売上増加を期待している場合は
「申し訳ありませんが、楽天やAmazonのほうがまだ成果が上がると思いますよ」とお伝えしています。
商品のメンテナンスができている、大手ショッピングサイトでも売れている、それでももっと売上を伸ばしたい、1年以上のスパンで顧客獲得増をめざしていきたい。
こういったクライアント様でないと、自社運用で成果を出すのは難しいと私たちは考えています。
それでもお願いしたいと言っていただけるクライアント様に対しては、もちろん全力でサポートさせていただいております!